廃墟を活ける。②
庭は「廃」がとても多い。
廃線の枕木はと元よりアンティークレンガや流木
今はあまり見なくなった木の電柱
使い古した椅子
欠けた水瓶 古い酒瓶 壊れかけた自転車 etc..
割れた鉢でさえも日曜ガーデナーは巧みに庭のアクセントにしてゆく。。。
プロのガーデナーのデザインの影響もありますが
身近にある素材を利用するバリエーションは、その家々のセンスで如何様にも変幻するのです。
新しい命が「生」を讃えて咲き誇る中、ひとつの香辛料として、その存在を置くことが返ってその場を更に映えさせるのかもしれません。
ポップアートや現代芸術の作家が生活(日常)に近しいものを素材とすることで現代社会を写しとるように庭においてはノスタルジアでありながらも更なるドラマチック性を持たせるために使っているように思えるのです。
意図的に あるいは無意識に 血の記憶も担って。。。
廃墟も寒々しい雪原に佇む姿や
雪の重さに倒れた枯れススキに囲まれて
ただ乾いて、退廃的なイメージの冬から初春にかけての姿よりも
緑が産して遺構を覆い尽くさんとする景色…
コンクリートの古城の中、スポットライトのようにわずかな光が注ぎ込む光の中でひ弱ながら何か希望に満ちたかのように新芽が伸び上がる様子
私はそういうものが好きなのです。
それはそうなのだけれど
闇があって光は映える
涙があって喜びに感嘆する
寒々しい冬があるから春が萌えさかる
人に捨てられて、もしくは忘れられて「廃墟」です。
でも本当の意味での廃墟は、いかほどあるのだろう。。。
鉱夫が去った鉱山(ヤマ)、子どもの消えた学び舎
そして、くつろぎと癒しを人たちの来なくなったホテルや旅館。
ここにある廃墟もまたホテル跡です。
しかし、少しばかり様子が変って感じられたのは
その景色があまりにも造作的だったからでした。
この廃墟は何らかの形で命を持たされているのです。
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コメント
この時期の廃墟は緑が映えますね。
虫、嫌いだけど写真を撮りに行ってしまいます。
機会があれば、真夏の北陸に来てみてください。
カマキリたくさん見れますよw
投稿: JUNK5:55 | 2012年8月 7日 (火) 20時32分
JUNK5:55様>虫が嫌いな人も多いし、遺構が見えにくくなるから真夏を嫌がる人もいるのだけど、緑の中の廃墟が好きですね。
中が葉の反射で緑色のフィルターをかけたように緑ががっている所が好きです。
北陸、行ってみたいですね。
カマキリを生で見たらカルチャーショックで逃げるだろうけど。。。
投稿: ねこん | 2012年8月22日 (水) 12時18分