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2012年8月 1日 (水)

廃墟を活ける。 ①

海から、それほど離れてはいないのに
そこはもう、どこまでも続きそうな緑の海です。

深い渓谷も上から下まで緑一色で
まるで大海原がパックリと割れているようだ。

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海原の如き樹海に漂う切れた釣り糸のごとき道
頼りなき筋なれど、そこに沿うように進む小さな小さな車。
あるときは群れて またある時は孤独に浸りながら
その道へも緑色の汐はザワザワと打ち寄せる。

緑海の中、筋道がより所にするように浮島が点在する。

Dsc07944古きもの 新しきもの
覚えているもの 忘れたもの

見飽きたもの 目を引くもの

時の流れに磨かれて
光沢の光を放つものあれば
ただ削られていくばかりで
小さく惨めに干からびていくものもある。

写真と記憶は薄れていっても
思い出のあの場所は
むしろ色濃くなっていくんだよ。
思い出して欲しいのか
終の時目指してゆっくりと自らを作り替えていくみたい…

血のように赤く
血管のように筋目立たせて…


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疲れきって、魂が抜けたみたいに静かで、乾きすら超越した遺構に
それとは反対の
鮮やかに色づく命の象徴のような緑が包んでいく様は
傷を癒そうとするみたいにも感じられる。

緑の海の中
沈む船のように小さく見え隠れしている。
やがてあの赤い塔も 緑色の大きな屋根も樹海の中で本当の遺跡になるのだろうか。

景色が急に開けた。
すでに虫の息と思えるものがそこにありました。
それでも、どこか生き生きして見えることに
なにか
微妙なさじ加減に思えたのです。

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